事の起こりは2012年2月末日。
雛祭りを目前に控え、愛娘のために雛祭りらしい料理を作ろうと考える澪斗。
雛祭りらしいものといえば菱餅――

しかし、愛娘はまだ一歳。餅を与えるには早すぎる年齢。
では、菱餅風のゼリーでも作ってやろうではないかと思いたち、スーパーで食紅を購入しようとするが…

「なんてこった、合成着色料ばっかじゃねぇか!」

合成着色料を使ったお菓子などできれば食べさせたくない親心。
しかし、天然素材の食用色素は合成着色料の1.5倍の価格の上、ネットでしか替えないため送料が馬鹿高いという…。

そこで澪斗は考えた。
「色素くらい自分で作っちまえばいいじゃねぇか」と…。


ケミカルクッキング第一弾 天然色素で菱餅風デザートを作ろう

ちょっと失敗した。

用意するもの
・紫キャベツ
・ほうれん草
・水
・レモン汁
・砂糖
・豆乳
・ゼラチン
・鍋
・スプーン
・型
・タンサン(重曹)

簡単に説明すると、紫キャベツとほうれん草からそれぞれ色素を抽出し、豆乳とまぜてゼラチンで固めるという非常にシンプルなもの。
ただ、紫キャベツは水で抽出したままだと紫なので、レモン汁を加えpHを調節し赤色にする必要がある。

まずは紫キャベツ色素の抽出から

紫キャベツの色素はブルーベリーなどにも入っている「アントシアニン」という色素で、こいつは水に溶けやすいという性質を持っている。
なので、紫キャベツ色素の抽出はすごく簡単。

適当に千切りにして鍋にぶち込み…

煮る!

水につけただけでも色素が出てくるのだけど、煮たほうが早いこと抽出できるし濃くなるので。
いい感じに色が出たらざるを使って色素液とキャベツを分ける。

キャベツにはまだ色が残っているけれどかなり濃い液が取れました。
ぶっちゃけ、必要なのは液だけでキャベツのほうはもういらないのですが、捨てるのはもったいないし、昼時だったのでおもむろに食します。

黒酢がはいった「キャベツのうまたれ」なるドレッシングをかける。
酢で酸性になり、ドレッシングがかかったところは鮮やかなピンク色に…
かかっている所とかかっていない所では色が違うのがお分かりいただけるでしょうか。

食べた感想は…はっきり言ってマズイ!!です。
いや、ドレッシングはおいしいんですよ、ただね、どうもねキャベツがね、色素を取るためにクタクタになるまで煮たもんだからね…うん。
ぶっちゃけ、マヨネーズのほうがよかったかもしれません。ドレッシングはしゃきしゃきキャベツのほうがいいや。

マズイと言いつつも完食。
残り汁がピンクですなぁ…。

さて、料理再開。
とりあえず必要なものなどざっとそろえてみる。

ここでふと思いつき。紫キャベツの色素ってアルカリ性だと緑になるんだったよね…ということは、タンサンでアルカリ性にすればほうれん草から色素をとる必要はないんじゃないかしらん?

そういうわけで緑を作ることに。
紫キャベツ色素にタンサンを加え、豆乳で割って色を調整。
ここで一つ問題なのはアルカリ性の物質はえぐい味がするということ。
なので、豆乳でまろやかに、砂糖も入れてえぐみを消す。

緑っつーか若竹色?ちょっと青っぽい。
もう少しタンサンを入れれれば緑になるかもしれないが、これ以上はさすがにマズイだろうということでゼラチンを溶かしいれて冷蔵庫にIN。

緑の層がある程度固まったら、その上に豆乳ゼラチン液を入れて二層目の白い層を作るという算段。

緑を固めている間に赤を作る。
紫キャベツ液にレモン汁を加え、豆乳と砂糖でまろやかさと甘さをプラス。
ここで一つ注意点というかなんというか。豆乳には「たんぱく質」が入っているわけですが、たんぱく質というものは酸と混ざると固化するという性質があります。
これをたんぱく質の変質といいます。

よって、豆乳にレモン汁を混ぜると白くてもろもろした何かが浮いてきますが、食用する分には何の影響もありません。
ちなみに今回豆乳を使ったのは娘が牛乳アレルギーだからなので、大豆アレルギーの人は牛乳でやってもいいと思います。
もちろん牛乳でも白いもろもろが出てきます。高脂肪乳だと水分と固形分が完全に分離するくらいになるので、牛乳でやるなら低脂肪乳がいいと思います

ちなみに豆乳にレモン汁と砂糖。どんな味かというと乳酸菌飲料っぽいです。

さて、赤を作ったりその他もろもろをやっていたら緑がいい感じに固まったので白を豆乳したのですがここでアクシデント
ゼラチンを溶かすため温めた豆乳を冷やさずに緑の上にぶっかけたせいで緑が溶けて白と混ざるという事態が発生

いやまぁ、普通に考えればそうなるよね…。

あと、緑がなんか臭い。
ためしに少し食べてみると…

うん!マズイ!!!!

冷やし固めたせいか、固める前よりえぐみがグレードアップして食えたもんじゃねぇよコンチクショー

仕方ないので廃棄。さすがの私もこれは食えんわ…。

気を取り直して…というか本来の予定通りに軌道修正して、緑はほうれん草から抽出することにしましょうそうしましょう。

ほうれん草に限らず、こういう緑の葉っぱに含まれている色素は「クロロフィル」といいます。
クロロフィルなんているとなじみがない感じですが、簡単に言うと「葉緑素」です。光合成に使うあれね。小学生のときに習ったでしょ。

クロロフィルは水にはあまり溶けず、アルコールには溶けやすいという性質があるので、通常はエタノールやエーテルを使って抽出します。
が、今回は抽出した色素を使って子供向けのお菓子を作るというのが本来の主旨(だとしたらタンサンで緑はまずかったよね、反省…)なのでアルコールは使いたくない。

というわけで、少しでも収率をあげるためにほうれん草をペーストにして豆乳で煮出すことにしました。

まず、ほうれん草の葉の部分だけを炭酸を少し加えた水で茹でこぼし、渋みの元であるシュウ酸(要するに灰汁)を取り除く。
水で洗って絞った後、豆乳と一緒にミキサーにかけ、火にかけて色を煮出す。

ガーゼを使って煮汁だけ取り出せば色素+豆乳液が完成。
なかなかきれいな色ですな。

こいつにゼラチンを加え冷蔵庫へ。
固まったら豆乳ゼラチン液を流し込んで再度冷蔵庫。
豆乳の層が固まったら最後に紫キャベツ豆乳ゼラチン液を流し込んでしっかり冷やし固める。

固まったら型から取り出して菱形に…と、ここでまた失敗。
型からうまく取り出せず、大部分を崩してしまった。

「散々苦労してこれっぽっちさ!」

しかし、色合いはなかなかきれい。
崩れた部分を食べてみたけれどなかなかおいしかったし、かけらを食べさせたところかなりお気に召した様子でした。

まぁ、終わりよければすべてよしってことでw

−−結果−−

・アルカリ性はやっぱりまずかった
・ほうれん草もペーストにして煮出せばそれなりに色が出る
・ゼラチン液で層を作るときはしっかり熱を取ってから流し込まないと下層が溶ける
・クタクタのキャベツはまずい
・型からはずす→菱形に切るじゃなくて、型の中に入れたまま菱形に切って取り出せばよかった…。